「…ねぇ、この道真っ直ぐ行ったら海だよ?
散歩しない?」


『…や。
てゆーか、脱がせちゃダメ?』


「絶対ダメ!!」


口を尖らせ、隼人の手を引っ張った。


そして今しがた入ってきたドアから出て、先ほどとは反対方向に足を進める。



『…脱がすのが楽しいのに。』


「それじゃ折角着た意味ないじゃん!」


ブツブツ言いながら隼人は、あたしの後ろを着いてきた。


海へと続く、一本道。


いざなわれるように、あたしのテンションも上がってしまう。




「隼人、写真撮ろう!」


『…いつの間にデジカメまで買ってたの?』


巾着からデジカメを出すあたしに、隼人は不思議そうに顔を傾けた。



「だって、一緒に撮ったことないじゃん!」


『…俺、写真嫌い。』


そう言って、子供みたいに口を尖らせて。


これじゃ、何のための旅行なのかわかんないよ。



『貸せよ!
ちーちゃん撮ってやるから!(笑)』


思いついたように言いながら、あたしの手からスルリとデジカメを奪った。



「もぉ!それじゃ意味ないじゃん!!」


声を上げるあたしに、隼人の唇が降ってきて。


思わず目を見開いた瞬間、カシャッとシャッター音が響いた。



『ハイ、今ので終わり。』


そう言って隼人は、満足そうにあたしの手の平にデジカメを戻す。



「…嘘っ…!」


そこには、キスをするあたし達の姿。