『…ちーちゃんは、何で俺なんかの傍に居るの…?』


抱き締められていると、隼人の鼓動が伝わってきて。


どうすれば、どう言えば。


隼人の不安は和らぐのかな。



「…愛してるからだよ?
隼人が居れば、ずっとココに閉じ込められてても構わないんだ。」



本当にただ、そう思っていた。


欲しい物なんて何もない。


親も、友達も、何も要らない。


可愛い赤ちゃんも、幸せな家庭も、何もかも。




『…ちーちゃんなんか…嫌いだよ…』


搾り出すように言った隼人は、抱き締める腕に力を込めて。


苦しかった。


その言葉が、隼人の不安が。


そっとあたしは、隼人に唇を与えて。



「…良いよ、あたしはそれでも傍に居てあげるから…。」



隼人の言葉が本心じゃないことくらい、すぐにわかる。


あれから1年経って、ようやく気付けた。


隼人は今も、自分を責め続けてるんだね―――…



『…ごめん、嘘だから…。
ホントは…すげぇ愛してるんだ…。』




なら何で、赤ちゃん要らないの…?


出かかった言葉を飲み込み、ゆっくりと口を開いた。




「…うん…。
あたしも愛してるよ?」



あたしには、隼人に抱かれることしか出来ない。


でもそれで、隼人の孤独が少しでも埋まるなら、それで良かったんだ。


本当はお互いに、何も望んでなかった。


ただお互いが居れば、それで良かったのに。



“生きる”って…


辛いことだね―――…