恋のコトバ【短編×Ⅱ】



……―――― 勇気を、出さなくちゃ。

志乃ちゃんと話した時からずっとその事が頭を支配していた。



もし、城田の気持ちがもうあたしになかったら?

確かにその不安はある。

あるし、すっごく大きい。


けど……だけど。

あたしが気持ちを伝える事で、この関係はいい方向にも変わる可能性はあるんだ。

ずっとなりたかった恋人同士になれる可能性だって、ゼロじゃない。


……もしも、断られたって……何も言わずにこの関係が終わるよりもずっといい。

素直な気持ちを伝えられて終わりになるなら……

恐いけど、すっごく恐いけど……でも――――……


今まで城田に甘えっきりだった自分を知ってるから。

このはっきりしない関係に甘んじてた自分を知ってるから。


だから……あたしから――――……



あたしを覗き込んで、見つめてくる城田に……あたしはキュっと唇を噛み締めた。

勇気、度胸、なんでもいい。

その辺の感情を全部詰め込んで……あたしは城田に手を伸ばす。


ずっとずっと伸ばしたかった手で……城田に抱きついた。


「え……」


城田が呟いた小さな戸惑いが、あたしの耳に届く。

明らかに動揺している城田に恥ずかしくなりながらも、あたしは城田を抱き締める腕に力を込めた。