……―――― 勇気を、出さなくちゃ。
志乃ちゃんと話した時からずっとその事が頭を支配していた。
もし、城田の気持ちがもうあたしになかったら?
確かにその不安はある。
あるし、すっごく大きい。
けど……だけど。
あたしが気持ちを伝える事で、この関係はいい方向にも変わる可能性はあるんだ。
ずっとなりたかった恋人同士になれる可能性だって、ゼロじゃない。
……もしも、断られたって……何も言わずにこの関係が終わるよりもずっといい。
素直な気持ちを伝えられて終わりになるなら……
恐いけど、すっごく恐いけど……でも――――……
今まで城田に甘えっきりだった自分を知ってるから。
このはっきりしない関係に甘んじてた自分を知ってるから。
だから……あたしから――――……
あたしを覗き込んで、見つめてくる城田に……あたしはキュっと唇を噛み締めた。
勇気、度胸、なんでもいい。
その辺の感情を全部詰め込んで……あたしは城田に手を伸ばす。
ずっとずっと伸ばしたかった手で……城田に抱きついた。
「え……」
城田が呟いた小さな戸惑いが、あたしの耳に届く。
明らかに動揺している城田に恥ずかしくなりながらも、あたしは城田を抱き締める腕に力を込めた。



