恋のコトバ【短編×Ⅱ】



城田は、たまにあたしに抱きついてくるけど……それは決まって学校で。

みんながいる時を選んでるみたいに、その時だけ。

デートしてても、周りに人がいる時は手を繋いできたりするのに、本当に2人きりの時には絶対にしてこない。

……それがお試し期間の規則なのかな?

っていうか、そもそもお試し期間に終わりってないの?!


「あたしが城田試してる間に、城田はあたしが嫌になったのかな……」


ぽつりと不安を言葉にすると、志乃ちゃんは、ふーっとため息にも取れる息を吐いて、あたしを見た。


「さー? でもさ、例えば城田がもう莉奈を好きじゃないとしてさー、莉奈はそれでいいの?

お試し期間なんて、そんな不完全燃焼で終わらせていいの? 後悔とかしない訳?」

「……」

「大体、城田はもう莉奈に気持ち伝えてる訳じゃん。

それに答えてないのは莉奈だよ。自分は待ってるだけってなんか城田が可哀相じゃん」

「……」

「……でも、あの城田が何か考えてつらい思いしてるとかってちょっと考えられないけど。

ってか、あんな毎日脳天気にニコニコしてるような城田が、1人で莉奈を想って悩んでたりしたら爆笑だけど」

「……」


……確かに考えられないけど。

城田は、いっつも明るくて……あたしにも笑顔しか向けない。

告白してくれた時の、照れた表情以外は、笑顔しか知らない。

明るくて、男子にも女子にも人気のある城田。