恋のコトバ【短編×Ⅱ】



「だって、お試し期間っていつ終わるの?!

城田、あれから何も言ってこないし、どうしたらいいのか分からないんだもん!」


そうなんだ。

告白の返事に、好きになれるかなんて分からないって答えたあたしに、それを提案したのは城田だった。

『じゃー、俺を試してよ』って。

一緒に帰ったりデートしたり……繰り返すうちに、あたしは自然と城田に惹かれて……好きになった。

それは、もう結構前の事。


お試し期間を2ヶ月くらい過ごした頃の事。

だけど……それをどう伝えたらいいのか分からなくて。

そのうち、城田が返事を聞いてくれるかな? なんて思って待つ事、10ヶ月。

友達以上、恋人未満の距離にすっかり慣れた城田に、何て言葉で伝えたらいいのか、分からない。

どうやって恋人になればいいのか……分からないんだもん。


「莉奈が言えばいいじゃん。好きだって」

「っ……」

「言えばいいだけの話じゃん」

「だって……言えないよ。城田、いっつもニコニコしてて、そんな雰囲気になんないんだもん。

デートして帰りが遅くなっても、全然恋人みたいな素振り見せないし、そういう事してこないし……」

「あー……確かにね。城田、莉奈に抱きついたりするのも、いつも冗談半分みたいな感じだもんね。

ふざけてんのか、本気なのかよく分からないよね」

「うん……。それに、2人きりの時って抱きついたりもしてこないし……」