恋のコトバ【短編×Ⅱ】



「何、今の。……あたしに片思い中って、何?」

「……あれ、聞こえてた? 独り言だったんだけど」

「そういうのはいいから。……どういう意味? ふざけて言ってただけ?」


「俺、片づけしなくちゃ」そんな言葉をわざとらしく呟いて後輩が教室を出て行く。

静かな暗い教室に2人残されて……哲が小さく笑う。


「や、……ふざけてだとかそんなんじゃないし」

「……じゃあ何? 別れたいって言ったのは、哲じゃない」


少しだけ震える声は……哲を目の前にした緊張が今更襲ってきたから。

哲の雰囲気。

哲の匂い。

哲の……声――――……


あたしに向けられる声が、こんなに嬉しいなんて……あたしはどうかしてる。



「んー……そうなんだけどさー……」


何かを渋るような哲に、あたしは少しイライラして……むっとして口を尖らせていると、哲の視線がちらっとあたしに向けられた。


「……言っても怒んない?」

「……そんなの言われてみなくちゃ分かんないけど。……怒られるような事なの?」

「んー……微妙。どっちかって言えば呆れられる感じかな」

「……どうでもいいからハッキリさせてよ」


少しだけ強めに言ったあたしに、哲はなぜだか笑みを零す。

そして、笑みを浮かべたままの瞳であたしを捕らえた。