「……どうすんの? コレ」
手に持ったまま、どうしていいか分からないジャージに戸惑って独り言を呟く。
あたしの声を静かに落とした暗い教室がいい加減少し怖くなって、鞄を持って教室を出た時……隣の教室から聞こえてくる話し声に気付いた。
ちょっと怖くなりながらも教室を覗くと……2人の男子の姿があって。
……その1人が哲だって気付いた途端、あたしの心臓はドキドキ鳴り始めた。
「先輩、また告られたらしいじゃないっすかー……超羨ましいんですけど」
どうやら1人の部員と話してるらしいけど……なんでこんなとこで?
あたしがこっそり見つめる先で、哲は少しだけ笑って……緩めた口を開く。
「情報が早ぇなー。告られたけど、でも断ったけどな」
久しぶりに聞く哲の声が、耳にいつまでも残る。
それだけで涙が浮かびそうになった自分に呆れながら、あたしは哲を見つめてた。
「ふーん。……ってか、先輩。隣の教室で寝てるのって誰っすか? 妹?」
「ん? んー……」
きわどい質問に、聞いてるあたしの方がなんだかドキドキする。
元カノ。
昔の女。
なんて答えるのか待っていると、哲がようやくその先を口にした。



