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「……、ん、あれ?」
いつの間にか机に突っ伏してた身体を起き上がらせると、回りはもう真っ暗だった。
校庭を照らす白いライトに、ここが学校だって事に気付いて……あたしは慌てて起き上がった。
すると、あたしの身体に掛かってたものがぱさっと床に落ちて……あたしはそれを拾い上げる。
「……っ」
手にしたものは、濃紺のジャージ。
白いラインが入ってる、ジャージ。
哲の、ジャージ――――……
ずっとここから見てきた哲は、毎日このジャージに袖を通してた。
これを着た哲を、毎日毎日あたしはここから見てて……
胸の辺りが苦しくなって、ジャージを胸の前で抱き締めると、哲の使ってる香水の匂いがした。
あたしと付き合ってた頃と同じ香水の匂いが、あたしの胸をもっともっと締め付ける。
少しの間そうしてたけど……ふと気付いた疑問にあたしは教室を見渡した。
なんで哲のジャージがここに……
それは、誰かがあたしにかけたって事で。
それは……多分、このジャージの持ち主で――――……
だけど、いくら周りを見渡しても哲の姿はなくて。
グランドを見ても哲はいなくて。
練習を終えたサッカー部は、後片付けに追われているようだった。



