恋のコトバ【短編×Ⅱ】



『島谷莉奈さん。……好きです。俺と付き合って下さい』


言った後に少し照れたような仕草を見せた彼に、あたしは――――……





「で、莉奈もOK出したから付き合ってる訳でしょ?」


志乃ちゃんの質問に、あたしは小さく首を横に振った。

返って来る志乃ちゃんの反応が恐くてチラッと視線を向けると、志乃ちゃんはあたしの予想通り、すごい剣幕で身を乗り出す。


「はー?! おかしくない?! なんで?!」


あたしにギリギリまで近付いた志乃ちゃんに、あたしは小さく椅子を引いて後ずさりながらその理由を口にした。


「……お試し期間中、なの」

「お試し……って、は?! 1年もずっと?!」

「……うん」

「その間あんた達何もしてないの?! 手繋いだりとかキスしたりとか!!」

「……デートは、週に一回はしてる。手も……何度か繋いだりは……」

「キスは?!」

「……してない」


呆れて絶句した志乃ちゃんを、あたしは赤く染めた顔でじろっと見つめる。

だって……だって!!