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「志乃ちゃん、遠藤先輩って今大学と部活の往復しかしてないらしいよ」
あれから数週間が過ぎて、季節はホワイトデー。
莉奈が突然そんな事を言い出した。
相変わらずの放課後の教室。
3月も3週目に入っただけあって、少しは寒さは和らいだかもしれない。
「なに、どういう意味? 家に帰ってないって事?」
笑いながら言うと、莉奈は首を振ってそれを訂正する。
「ううん。違う違う。遊んでないって事。家と大学と部活だけなんだって」
「誰に聞いたの? それ」
「城田。お姉ちゃんがいるんだけど、お姉ちゃんから城田が聞いて、それで……」
「ふぅん」
「確かにね、秋辺りはちょっと遊んだりしてたみたい。けど……それからぱったり遊ばなくなったんだって。
相変わらずモテてるらしいけど、それも全部断ってるって」
「ふぅん」
そっけない返事に、莉奈は少しだけ口を尖らせる。
そして、グランドに視線を落としたままのあたしに、珍しく噛み付いてきた。
「……ふぅん、って、志乃ちゃんまだ好きなくせに……なのに、そんな返事ばっか」
莉奈の言葉に、あたしは別に戸惑わなかった。
バレてる事は分かってたし。
莉奈が気を使って何も聞いてこない事も分かってた。
そんな莉奈に……あたしも、本音を返す。



