一歩も引かないあたしに、哲は地面に視線を落として後ろ頭を掻く。
遊び人らしく、男にしては長い髪。
黒い髪の間から覗くキラキラ光るピアス。
指定のブレザー代わりに着ている、どっかのブランドのパーカー。
その下には、第三くらいまで開いてるんじゃないかと思うほど肌蹴ているYシャツ。
この出で立ちは、どこかお兄ちゃん達を思い出させる。
黙って見ている先で、哲がガバっと頭を上げた。
そして。
『分かった。じゃあ約束事を決めろよ。それ全部守るから付き合って?』
『……何もそんなにあたしに拘らなくてもよくない?』
哲と一緒にいる時、あたしは何かとズケズケ言うだけで、可愛げのあるトコロなんてこれっぽっちも見せてない気がした。
お兄ちゃん達といる時みたく、少し小言っぽい言葉をかけるばっかりで……どう考えても恋愛感情を持たれるような事した覚えがないんだけど。
『いや、俺は志乃がいい。……志乃も俺の事嫌いじゃないだろ?』
『……まぁ』
じゃあ好きかって聞かれれば微妙だったけど。
軽いって定評はあったけど、話してみると楽しいし、いつも明るいし、笑わせてくれるし……
女遊びが激しいだけあって、女の子の扱いも慣れてるし……一緒にいて、楽しいとは思ってた。
歯切れ悪く頷いたあたしに、哲はにっと笑って手を差し出したんだ。
『絶対、好きにさせてみせるから。後悔させないから。……だから、お願いします』
あたしは……少し戸惑った後、その手を取った――――……



