「はー?! だって付き合ってるじゃん!!
好きで当たり前じゃん!!」
「だけどっ……恥ずかしいもん」
「いや、恥ずかしいもん、じゃなくて!! えぇ……ってか、城田と莉奈ってなんで付き合い始めたんだっけ?」
「……城田の告白で」
去年のバレンタインデー。
あたしは隣のクラスの城田に呼び出された。
指定された場所は、視聴覚室。
あまり使わない部屋に少し戸惑いながらもドアをそっと開けると、彼がいて……
『これ、受け取ってもらえない?』
そう言って綺麗にラッピングされた小さな箱をあたしに差し出した。
『……なに?』
『……チョコ』
『チョコ?!』
『ちなみに本命。……つか、超本命』
『本っ……?!』
その日がバレンタインデーなのは知ってた。
だけど、バレンタインデーって……女の子からチョコをあげたりする日じゃ……
戸惑うあたしに、城田は真剣な顔をして……差し出したチョコをそのままにあたしを見据えた。
平均的な身長に、少しやんちゃな感じの顔立ち。
茶色の髪は、少し短めで……彼の真っ直ぐな目を隠さずに見せていた。



