恋のコトバ【短編×Ⅱ】



『ちょっと!! なんか女から家電にかかってきてんだけど』

『あー……ケータイ着拒にしたからだ。……なんか適当にいないって言っといて』

『自分で言いなよ』

『俺が言ったらおかしいだろっ。つーか、マジお願い。こないだ二股バレてさー、ちょっとかなりご立腹でさー……ね、志乃ちゃん』

『なに、ちゃんって。気持ち悪……つーか、最低ー。絶対出ない。繋がってるからお兄ちゃん出なよね』

『えー……』

『自分が悪いんでしょ?! 二股とかありえないしっ!』

『えー、でもこないだ兄貴も二股してたよ?』

『……最低最低、超最低』


そんな会話は日常茶飯事。

あたしは、絶対お兄ちゃん達みたいな人とは付き合わないし、身体の関係になんかなんない。


それは、中学の頃から決めてた決意。



哲夫だか哲郎だか知らないけど、完全にアウト。

顔も見たくないし。


そう思いながら廊下を歩くあたしに、哲はしつこく話しかけてきて……


『ねー、何年何組の何ちゃん? それくらい教えてくれてもいいじゃーん』

『嫌です』

『……俺の事嫌い?』

『嫌いです』

『……どうすればちゃんと話してくれる?』

『……話したくないって言ってんじゃん。何? 何が目的な訳?

あたし、あんたみたいな軽い男って大っ嫌いなんだけど』

『別に目的なんか……ない訳じゃないけど。俺、キミと友達になりたい。

どうすればなってくれる?』

『……岸田の髪でもむしってきたら考えてあげてもいいけど?』