恋のコトバ【短編×Ⅱ】



「はー……」


大げさなため息でその苦しさを吐き出そうと試みても、それは無理みたいで。

あたしのため息はただ白く染まって消えて行く。

ため息みたいにこの気持ちも消えちゃえばいいのに。

つーか、いらないし、こんなの。

超、いらないし。


「でも、遠藤先輩、ひどいよね……」

「あー、ひどいね。どうしょうもない男だよね、アレは」


莉奈から出た名前に、わざと軽く返事をすると、莉奈は黙って……あたしをじっと見つめた。

きっと……莉奈にはバレてる。

どんなに文句ばかりを言ってても、あたしがまだ哲を好きな事……毎日この覗き見に付き合ってくれる莉奈には、きっとバレてる。





哲は、本当にしょうがない男だった。

そもそもの出会い自体がナンパだったし。

しかも、校内でナンパ。ありえないし。


二学年上だった哲は、校内でも結構人気のある男だった。

なんていうか……黙ってても女を惹き付けるような、そんな魅力の持ち主。

明るい柔らかい雰囲気とか、それなりに整った顔立ちがきっとそうさせるんだろうけど。