「はー……」
大げさなため息でその苦しさを吐き出そうと試みても、それは無理みたいで。
あたしのため息はただ白く染まって消えて行く。
ため息みたいにこの気持ちも消えちゃえばいいのに。
つーか、いらないし、こんなの。
超、いらないし。
「でも、遠藤先輩、ひどいよね……」
「あー、ひどいね。どうしょうもない男だよね、アレは」
莉奈から出た名前に、わざと軽く返事をすると、莉奈は黙って……あたしをじっと見つめた。
きっと……莉奈にはバレてる。
どんなに文句ばかりを言ってても、あたしがまだ哲を好きな事……毎日この覗き見に付き合ってくれる莉奈には、きっとバレてる。
哲は、本当にしょうがない男だった。
そもそもの出会い自体がナンパだったし。
しかも、校内でナンパ。ありえないし。
二学年上だった哲は、校内でも結構人気のある男だった。
なんていうか……黙ってても女を惹き付けるような、そんな魅力の持ち主。
明るい柔らかい雰囲気とか、それなりに整った顔立ちがきっとそうさせるんだろうけど。



