恋のコトバ【短編×Ⅱ】




「ねー、そんな態度ばっかり取ってるとそのうち愛想つかされるよー?」

「……」


志乃ちゃんの鋭い指摘に、あたしは頬を膨らます。

あたしの視線の先で、志乃ちゃんはふわふわパーマに指を絡ませながら毛先の枝毛を探している。


「分かってるもん」

「分かってるならなんであんな態度な訳ー? 何? 莉奈もしかして城田と別れたいの?」

「違っ……そんなんじゃないよ」

「じゃあなんで?」


放課後の教室。

2月に入ったばかりのそこは、暖房もなくストーブもないせいでかなりの冷え込みに襲われている。

しかも教室にはあたしと志乃ちゃんの2人だけ。

その閑散とした状況が、余計に寒気を強調させている気がする。

そんな中で、志乃ちゃんの尋問が続く。


「……」

「莉奈ー?」

「だって……だって、恥ずかしいんだもん」

「……何が?」

「だってさ、『ギューしたい』とか『手繋ごー』とか城田が言ってきて、あたしが『うん』って言ったら、あたし超城田の事好きみたいじゃない?

……それが恥ずかしい」


城田にさえ言った事のない胸のうちを言ったのに、志乃ちゃんは何故か言葉を失って。

すごくびっくりした顔をした後、ぽかんと開けっ放しだった口で一気にあたしをまくし立てた。