じわっと浮かんできた涙。
それを堪えて前を向こうとした時、あたしの頭にある場所が浮かんだ。
それは……去年城田が告白してくれた視聴覚室。
もしかしたら……
いないかもしれないけど、でも――――……
踵を返して、中校舎1階の視聴覚室に向かう。
いつの間にか走り出した足。
箱の中のチョコが揺れるのを感じながら、あたしは少し息を切らせて視聴覚室のドアの前で足を止めた。
……いないかもしれない。
まだ少しドキドキしてる胸にそう言い聞かせながら、ドアにそっと手を掛ける。
静かに開くドアに、コクリと喉を鳴らしてから、あたしは視線を上げた。
「――――……っ」
「……莉奈」
そこには……背中に夕日を浴びながらあたしを見つめる城田がいて。
城田の姿を見ただけで、自然と涙が溢れ出して頬を伝った。
「……ふ、……っく……っ」
「えっえ、莉奈?! どうした?!」
「……ひ、っく……」
「ちょっ……なんで泣くんだよ?」
慌てた様子の城田があたしに駆け寄って、なんとかなだめようとあたしの顔を覗き込む。
そんな城田にあたしは涙を浮かべたまま視線を合わせて、口を開く。
「だってっ……城田が、教室に、…いない、から」
涙のせいで途切れがちになった言葉に、城田はまた慌てた。



