恋のコトバ【短編×Ⅱ】



『……で、いい』

『え?』

『……莉奈でいいよ』


真っ赤に茹で上がりながらもそう言うと、城田はにっと嬉しそうに笑った。


『食べよ、莉奈』


……―――― その時、初めて名前を呼ばれた。


それから毎日のように城田はあたしを教室まで訪ねてきて……


『莉奈ー』

『なに?』

『呼びたかっただけー』

『……』

『だって、名前で呼べる事が嬉しくてさ。なんか黙ってらんねぇ感じ』


そんな事を毎日繰り返した。


城田は、いつもいっぱいの気持ちをあたしにくれてた。

言葉と態度で、いっぱいいっぱい好きって伝えてくれてた。

だから……だから、あたしも安心してて……

いくらでもあった告白するチャンスを、先延ばししてたんだ。


いつも追いかけてきてくれる城田に安心して……

あたしはいつも素直な気持ちをしまいこんでた。

一番傷つけられたくないトコロだから……それを見せないで心の奥にしまいこんでたんだ。


城田はいつも見せてくれてたのに――――……