『……で、いい』
『え?』
『……莉奈でいいよ』
真っ赤に茹で上がりながらもそう言うと、城田はにっと嬉しそうに笑った。
『食べよ、莉奈』
……―――― その時、初めて名前を呼ばれた。
それから毎日のように城田はあたしを教室まで訪ねてきて……
『莉奈ー』
『なに?』
『呼びたかっただけー』
『……』
『だって、名前で呼べる事が嬉しくてさ。なんか黙ってらんねぇ感じ』
そんな事を毎日繰り返した。
城田は、いつもいっぱいの気持ちをあたしにくれてた。
言葉と態度で、いっぱいいっぱい好きって伝えてくれてた。
だから……だから、あたしも安心してて……
いくらでもあった告白するチャンスを、先延ばししてたんだ。
いつも追いかけてきてくれる城田に安心して……
あたしはいつも素直な気持ちをしまいこんでた。
一番傷つけられたくないトコロだから……それを見せないで心の奥にしまいこんでたんだ。
城田はいつも見せてくれてたのに――――……



