恋のコトバ【短編×Ⅱ】



でも、今でも想ってる。

毎日毎日この寒い教室で遠藤さんを眺めてる志乃ちゃんの目は……恋してる。


志乃ちゃんの切ない想いに胸が痛くなりながら、志乃ちゃんを心配できるような状態じゃない自分に気付いて、あたしはため息を落とした。

もう、本当に一生来ないのかな……


そんな考えが頭を過ぎって……胸が痛い。


なんでこんなに上手くいかないんだろう。

好きって伝えたかっただけなのに……なんでこんな事になってるんだろう。


文句ならいくらでも出てくるのに。

バカだとかそういう言葉ならいくらでも言えるのに――――……


素直になれない。

可愛くなれない。


「大体……城田だってあたしのあまのじゃくな性格知ってるんだから、それくら分かってくれてもいいじゃん……」

「城田にそんな気が回せる訳ないじゃん。あの城田だよ? 悩みなんかなさそうな奴に、莉奈の言葉を素直に変換するなんて、そんな器用な事できる訳ないじゃん」

「……」



謝りに行ったら……城田は許してくれるのかな。

でも謝るってなんて?

『バカ』って言ってごめんなさいって……?

……そんな今更な事、謝れないし。

バカだの変態だの……もう何百回って言ってる気がするもん。


……―――― 呆れられても、当然なのかもしれない。


過ぎった考えに、また大きなため息が出る。

じくじくと痛み続ける胸は、化膿してきっと腫れてる。


「……痛い」


珍しく本音を口に出したのに、もっともっと痛み始める胸。


本音だから痛い。

だから……言えないんじゃない。


城田のバカ。