でも、今でも想ってる。
毎日毎日この寒い教室で遠藤さんを眺めてる志乃ちゃんの目は……恋してる。
志乃ちゃんの切ない想いに胸が痛くなりながら、志乃ちゃんを心配できるような状態じゃない自分に気付いて、あたしはため息を落とした。
もう、本当に一生来ないのかな……
そんな考えが頭を過ぎって……胸が痛い。
なんでこんなに上手くいかないんだろう。
好きって伝えたかっただけなのに……なんでこんな事になってるんだろう。
文句ならいくらでも出てくるのに。
バカだとかそういう言葉ならいくらでも言えるのに――――……
素直になれない。
可愛くなれない。
「大体……城田だってあたしのあまのじゃくな性格知ってるんだから、それくら分かってくれてもいいじゃん……」
「城田にそんな気が回せる訳ないじゃん。あの城田だよ? 悩みなんかなさそうな奴に、莉奈の言葉を素直に変換するなんて、そんな器用な事できる訳ないじゃん」
「……」
謝りに行ったら……城田は許してくれるのかな。
でも謝るってなんて?
『バカ』って言ってごめんなさいって……?
……そんな今更な事、謝れないし。
バカだの変態だの……もう何百回って言ってる気がするもん。
……―――― 呆れられても、当然なのかもしれない。
過ぎった考えに、また大きなため息が出る。
じくじくと痛み続ける胸は、化膿してきっと腫れてる。
「……痛い」
珍しく本音を口に出したのに、もっともっと痛み始める胸。
本音だから痛い。
だから……言えないんじゃない。
城田のバカ。



