「莉奈ー、いいの? 城田」
「……」
往生際悪く、毎日放課後教室に残るあたしに、志乃ちゃんが声を掛ける。
いいの? って聞かれたって……そんなの、
「だって、城田あたしの話なんか聞きたくないって言うんだもん」
「それさー、なんでなんだろうね。しかもそれっきりでしょ? ありえないよね」
「せっかく勇気出したのに……バカ城田」
「……あたしが探りいれてきてあげよっか」
「……いい。志乃ちゃんはなんか余計な事まで言いそうだもん」
「なに、その失礼な言い方はー……例えば?」
「例えば……だから、あたしが城田に好きだって言えないって悩んでた事とか……」
「あー、いいね。言ったら楽しそう」
「もーっ!! からかわないでよ……」
あたしをからかいながら、志乃ちゃんは窓の外のグランドに視線を移す。
志乃ちゃんが毎日放課後あたしに付き合ってくれる理由は、その視線の先にある。
サッカー部OBの遠藤さん。
放課後、コーチ代わりに毎日サッカー部の練習を見に来てる大学生。
遠藤さんは……志乃ちゃんの元彼だ。
秋頃、遠藤さんに、とても納得できないような理由で振られた志乃ちゃん。
『おまえがいるとさー、せっかくのキャンパスライフがバラ色になりそうもないんだよなー』
ボッコボコに殴った志乃ちゃんは、暴言を浴びせて別れたけど……



