明らかに、あたしの話を聞きたくない様子の城田に
あたしを離そうとしてる城田に……
悲しみにも似た怒りが込み上げてくる。
……ううん、怒りにも似た、悲しみかもしれない。
嘘なんかつけない性格の城田が初めてついた嘘が……
バレバレの嘘が、胸に突き刺さる―――……
「その、さ……」
「もういい」
「え?」
「もういいよっ!! そんな下手な嘘付いてまであたしの話を聞きたくないなら、もういい!!
もう一生言わないっ!! 絶対言わない!!」
「莉奈、ちょっと落ち着けよ。違う……そうじゃなくて……」
「嘘付いてまであたしと一緒にいたくないなら……もういいっ!!
もう一生迎えになんか来なくていい!! ……~~バカバカ!! バカ城田!! 大っ嫌い!」
「ちょっ……莉奈っ!」
「追いかけてこないでよ! 変態っ!!」
走り出したあたしを追いかけてこようとした城田を一喝して止めてから、あたしは逃げ込むように家へと入った。
一度も振り返らなかったから、城田があの後どうしたかは分からないけど……
部屋に上がってから窓の外を見ても、もう城田の姿はなくて。
「……追ってくればいいのに。……バカ」
あたしの言葉が、白くなって冷たい空気に浮き上がる。
自分勝手な事ばかりを思ったり言ったり……そんな自分が心底嫌になりながら、寒空を見上げた。
『大っ嫌い!』
そんな心とは裏腹な言葉はすぐに言えるのに……なんで本当に伝えたい言葉が言えないんだろう。
なんで……
こんな大きな気持が、声にならないんだろう―――……



