午前中、下の娘の貴子が子供を二人連れて見舞いに来た。

面会時間になっていない病棟で三歳と一歳の孫は目立つ。

しかし貴子は気にも留めない顔で

「これを早く届けたくて。」

と言う。

手にはテレビ用のヘッドフォンが握られている。

イヤホンでは耳が痛むだろうと、貴子は家事を終えてすぐに駆けつけてくれた。

貴子は昔から泣き虫の甘えん坊で、僕には『チビ』とか『チビ介』と呼ばれて育った。