血圧が低いためか、昨日から胸に吸盤みたいなモノが付けられた。

指にもクリップの様なモノがつけられた。

もう僕には起き上がる体力もない。

電動式のベッドがリモコンで僕を起こしてくれる。

意識もあまりはっきりしない。

今日はバルセロナに行く夢を見た。

そして目を開けると、貴子が泣きながら僕を見ていた。

慌てて手で涙を拭い、笑顔を作った。

「何…泣いてるんだ…。」

重い右手を少しずつ持ち上げて貴子の手を撫でてやる。