コトン…。

目の前に、自宅で愛用していた湯飲みが置かれた。

「…タヌキさんのお見舞いのジュース。100%だから美味しいんだって。」

重い湯飲みをなんとか持ち上げて、口にジュースを流し込む。

なんとも爽やかで優しい舌触りだ。

喉を潤し、食道を冷たい液体が優しく撫でるように流れて行くのが分かる。

僕の人生で一番美味しいリンゴジュースだった。

孫に飲ませてやろう…。