娘達が僕を見て手を振って近づいて来る。

心配して待っていてくれただろう娘達は、僕達の表情を見て、

「もう帰るね、父さん。」

とだけ言った。

二人共、何も聞かなかった。

僕の家族は、何も聞かないでいてくれる優しさを持っている。

それは時に不思議で、とても優しい。

母親譲りの優しさだ。

僕はこんな時、登喜子にとても感謝する。

僕は育児も家庭も全て登喜子に任せてしまった。

だが登喜子は想像以上によい娘を育て上げてくれたと思う。

親ばかは死んでも直らない…か。