明夫は大阪の親戚や、自分の家族の話しをひっきりなしにした。

沈黙を怖がるかのように喋り続ける明夫は、僕から見て可哀想だった。

だからもう許す。

誰かを恨むのは疲れるから。

母さんの事も忘れよう…。

明夫が帰った後、登喜子が言った。

「あなたには辛いでしょうが、あの人達のした事は忘れたらいい。あなたは、こんなに愛してくれる家族がいるでしょう…。今、十分愛されてるのよ。」

視線の先には、静香と貴子と子供達が廊下の長椅子に座ってジュースを飲んでいた。