僕は、もし娘達が癌であったらすぐに駆けつける。

歩けなくても、車椅子に乗れるなら会いに行く。

誰かがおんぶしてくれるなら、寝たきりになってたって会いに行く。

これは確かだ。

僕の母にはない愛情だ。

今さら明夫に会ってどうしろと言うんだ。

「会わないぞ。追い返せ!」

と言う俺に、貴子が食い下がる。

「…気持ちは分かるけど。明夫おじさんだって遠くから来るんだよ。父さんは会うだけでいいからさ。お兄さんなんだから、少しだけ大人になってあげなよ。たった一人の兄弟でしょう…。」