登喜子がパジャマの替えやタオルを小脇に抱えて顔を覗かせる。

来客用のコップなどを手際よく並べている。

「父さん、足痛いの?」

静香が指さした。

肝臓が働かないためか、腹水でお腹が膨れ、足もパンパンに腫れていた。

痛みはない。

しかし見るに耐えない。

こんな足じゃ歩く事も出来ないのだから。

車椅子の生活は、何をするにも人に頼まなきゃならないのが難点だ。

まだ死ねないのだから。