妻よ…ありがとう。


君には何度礼を言っても言い足りない。


なのに僕が君に礼を言ったのはいつだったろう…。


僕はひどい夫だ。


それでも闘病生活で荒れた僕を文句を言いながら、しっかり支えてくれた。


感謝してもしきれない。


もう少しだけ、君と過ごしたかった。


なのにもう意識がなくなりそうだ…。


この一瞬の正気の間に、僕は焦って最後の言葉を紡ぎ出す…。


あり…が…とう…。


君に届いただろうか…?


バルセロナはすぐそこだ。


ありがとう…登喜子…─────────