「月、曜日…?」
それを聞いて、裕一郎ははたと考え込む。
確か求人を巡る争いが終結したのが、月曜日ではなかったか――。
(…ま、まさか!?)
そのからくりに気づいて、彼は引きつる顔を河村へと向ける。
「まさか、久司が貼り紙止めたのって…津久見さんの採用を決めたから…?」
すると、河村はニヤリと笑った。
「当たり前だろ。決まりもしないのに、俺が1度始めた求人募集をそう簡単に止める訳ないだろうが」
「なっなっなっ…」
「俺がお前の抵抗ごときに屈するかよ、バーカ」
大人げない彼の言葉に、たちまち裕一郎の顔がカッと赤くなる。
「久司にバカ呼ばわりされる覚えなんてないぞ!!」
「お前、どれだけ俺と一緒に暮らしてんだよ。いい加減性格分かれっての」
ふぅぅ…まだまだだなぁと言わんばかり、タメ息をつくと小さく頭(かぶり)を横に振る。
「そんなもん、分かるわけないだろっ。…あぁ、気色悪っ!!」
裕一郎はブルリ身震いすると、ソファから立ち上がった。
「もうやだ。久司と一緒になんて暮らせないよっ、オレは今日から双瀬さんのとこに行く!!」
「双瀬…?あいつのとこはやめておけ。節操無しがうつるぞ」
「自分の友達の事を悪く言うなっ」
堪忍袋の緒が、彼の中で切れそうになる寸前。
「じゃあ、僕の所においでよ」
2人のやり取りを聞いていた尚人が、口を挟んだ。
「えっ!?」
「はぁ?」
その言葉に裕一郎と河村の動きが止まった。
「部屋余ってるし、1人より2人で住む方が楽しいし…ね?」
「ほ、本当にいいんですか」
「僕は構わないよ、河村さんが許可さえ出してくれたら」
天使のような微笑みで挑発の言葉をサラリと言う尚人に、河村は口をパクパクさせている。
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