Darkness † Marker 5 【彷徨う者】


「事故現場に持っていけば、霊が現れて持って行くだろ」

河村はあっさり答えを出す。

「えーっ、そんな簡単な事?周りの人を騒ぎに巻き込んだりとかしないかな」

「心配はないだろ。目的の物が自分の元へ返ってくるんだ、感謝こそされても恨まれる覚えはないさ」

「ま、凄腕の式神使いが側にいるんだから、何かあった時には助けてくれるか」

「そんな時だけ持ち上げられても嬉しくねーよ」

ふん、とそっぽを向く保護者を横目に、裕一郎は笑いを噛み殺す。

「さっさと返して、俺たちも事務所に戻るぞ」

「了解しました、ボス」

「バーカ。ふざけてないで、さっさと現場に行く!!」

河村はテレているのを見られたくないのか、パシンと裕一郎の背中を叩くと先に立って現場に向かった。

その後を、クスクス笑いながら彼はついて行く。

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