「事故現場に持っていけば、霊が現れて持って行くだろ」
河村はあっさり答えを出す。
「えーっ、そんな簡単な事?周りの人を騒ぎに巻き込んだりとかしないかな」
「心配はないだろ。目的の物が自分の元へ返ってくるんだ、感謝こそされても恨まれる覚えはないさ」
「ま、凄腕の式神使いが側にいるんだから、何かあった時には助けてくれるか」
「そんな時だけ持ち上げられても嬉しくねーよ」
ふん、とそっぽを向く保護者を横目に、裕一郎は笑いを噛み殺す。
「さっさと返して、俺たちも事務所に戻るぞ」
「了解しました、ボス」
「バーカ。ふざけてないで、さっさと現場に行く!!」
河村はテレているのを見られたくないのか、パシンと裕一郎の背中を叩くと先に立って現場に向かった。
その後を、クスクス笑いながら彼はついて行く。
.


