Darkness † Marker 5 【彷徨う者】

        ☆


「…で、お前はこれからどこに向かおうとしているんだ?」


くるりと踵を返した裕一郎に、河村は尋ねると隣に並んだ。


「もう1回、駅に戻るよ」


「駅に…何で?」


「何でって、えっと…それは…」

聞かれて、裕一郎は言い淀む。

その様子に河村はピンときた。


「ははーん、さては《来てる》んだな」


顎の不精ひげを撫でながら、彼はニヤリと笑う。


「えっ!?」


「お前が切望して止(や)まないパートナー殿が」

「何で分かるんだよ…」

「バーカ、お前の指輪が外れてる時点でそう考えるのが自然だろうが」

「全然自然じゃないよ。大体、何で指輪と津久見さんが結びつく…あっ!!」

そこまで言って、裕一郎は気がついたのか足を止めた。

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