Darkness † Marker 5 【彷徨う者】


「昨夜オレの部屋に現われた霊と、また接触したんだ」


「何、本当か!?」


河村は驚いた声をあげた。

「うん…やっぱり正体は、あの駅で自殺した女の人だった。その人は右手首がなくなってて、どうもその指に大切な指輪をしていたみたいなんだ。でもどういう理由でか手元にないらしくて、それを探して欲しいって訴えてきてたみたいだった」


「…で、それを現場から持ち去った犯人を追っていたって訳か」


「うん。でも正確に言うなら《犯人の影》だけど」

「あぁ、そう言えばお前さっきそう言ってたな。もしかして式が見せてくれたのか?」

河村は式にそういう力がある事を知っているようだ。

「多分…蝶を放したら事故現場の辺りで姿が見えなくなって、戻ってきたかと思ったら突然、過去の景色が目の前に映し出されから…」

「裕、お前式をどこにやった?」


「えっ?」


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