「昨夜オレの部屋に現われた霊と、また接触したんだ」
「何、本当か!?」
河村は驚いた声をあげた。
「うん…やっぱり正体は、あの駅で自殺した女の人だった。その人は右手首がなくなってて、どうもその指に大切な指輪をしていたみたいなんだ。でもどういう理由でか手元にないらしくて、それを探して欲しいって訴えてきてたみたいだった」
「…で、それを現場から持ち去った犯人を追っていたって訳か」
「うん。でも正確に言うなら《犯人の影》だけど」
「あぁ、そう言えばお前さっきそう言ってたな。もしかして式が見せてくれたのか?」
河村は式にそういう力がある事を知っているようだ。
「多分…蝶を放したら事故現場の辺りで姿が見えなくなって、戻ってきたかと思ったら突然、過去の景色が目の前に映し出されから…」
「裕、お前式をどこにやった?」
「えっ?」
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