☆
(あれっ…どこに行った!?)
裕一郎は人ゴミの中に姿を見失って、キョロキョロと辺りを見回した。
階段を上って地上へ出た後、道を真っ直ぐ行った1つ目の角を左に曲がった所で見失ってしまったのだ。
そんなに足が速かったとは思えない。
太陽の下でも霊は見えるのだから、あの影が光に当たり消えてしまったとは考えにくかった。
(せっかく手掛かりをみつけたと思ったのに…)
諦めきれずにもう少し捜してみようかと思った時、
「おい」
背後から不意に腕を掴まれる。
「!!」
裕一郎はビクッとして振り向いた。
「裕…お前、事務所に帰ってたんじゃなかったのか?」
「久司…」
「慌ててるみたいだが、どうした」
いつになくそわそわとした少年の様子に、河村は尋ねる。
「今、犯人の影を追ってるんだ。髪の長い、グレーのスーツを着た女の人なんだけど…」
「髪の長い、グレーのスーツの女性って言ってもなぁ…そんな格好した人間たくさんいるし。大体、犯人って何の?」
「指輪を持って逃げた犯人だよ」
「指輪…?」
それを聞いて、河村は裕一郎の左手に視線をやった。
「外れたのか?」
「…あ、いや、この指輪じゃなくて、探してくれって、えっとオレの所に現われた霊の…」
「おい、少し落ちつけよ。話の内容がさっぱり理解できん」
苦笑まじりに肩をポンと叩かれ、彼は余裕をなくしている自分に気づく。
「だよね…」
「ゆっくりでいいから、順を追って話してみろ」
辺りを見回し、これ以上影を追えないと知った裕一郎は諦めた表情を浮かべると、再び口を開いた。
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(あれっ…どこに行った!?)
裕一郎は人ゴミの中に姿を見失って、キョロキョロと辺りを見回した。
階段を上って地上へ出た後、道を真っ直ぐ行った1つ目の角を左に曲がった所で見失ってしまったのだ。
そんなに足が速かったとは思えない。
太陽の下でも霊は見えるのだから、あの影が光に当たり消えてしまったとは考えにくかった。
(せっかく手掛かりをみつけたと思ったのに…)
諦めきれずにもう少し捜してみようかと思った時、
「おい」
背後から不意に腕を掴まれる。
「!!」
裕一郎はビクッとして振り向いた。
「裕…お前、事務所に帰ってたんじゃなかったのか?」
「久司…」
「慌ててるみたいだが、どうした」
いつになくそわそわとした少年の様子に、河村は尋ねる。
「今、犯人の影を追ってるんだ。髪の長い、グレーのスーツを着た女の人なんだけど…」
「髪の長い、グレーのスーツの女性って言ってもなぁ…そんな格好した人間たくさんいるし。大体、犯人って何の?」
「指輪を持って逃げた犯人だよ」
「指輪…?」
それを聞いて、河村は裕一郎の左手に視線をやった。
「外れたのか?」
「…あ、いや、この指輪じゃなくて、探してくれって、えっとオレの所に現われた霊の…」
「おい、少し落ちつけよ。話の内容がさっぱり理解できん」
苦笑まじりに肩をポンと叩かれ、彼は余裕をなくしている自分に気づく。
「だよね…」
「ゆっくりでいいから、順を追って話してみろ」
辺りを見回し、これ以上影を追えないと知った裕一郎は諦めた表情を浮かべると、再び口を開いた。
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