「犯人は久司でも双瀬さんでもないみたいなんだ」
「だったら僕、1人心当たりがあるよ」
啓太がぼそりと言った。
「本当か!?」
「うん。如月が駅のホームで倒れた時、肩を貸してくれた男の人が1人いてね。お前を公園のベンチに運んだ後、僕はスポーツドリンクを買うためにコンビニに走ったから…もし指輪を嵌めたとしたらその時かも」
「お、男…どんな人、だった?」
もしその人物が指輪の贈り主だとしたら、どんな風貌だったか気になる所でもある。
(思いっきり変態っぽかったら、どうしよう…)
日常的に付きまとわれでもしたら、ある意味霊よりも厄介だ。
恐る恐る彼が尋ねると、啓太はうーんと胸の前で腕を組んで唸る。
「あの時は僕も気が動転してたから、はっきりと特徴は覚えてないんだけど…凄く綺麗な顔してた印象だけはあるな。体型はスラリとしてて、物腰柔らかだったよ…でもスーツは着てなかったから、会社員って感じはしなかったな」
「香水の匂い、してた?」
「香水?やけにそれに拘るんだな…。でも残念ながらそこまでは覚えてない」
「そっか…ま、いいや。その感じだと同じ駅から電車に乗る人だろうから、この近辺に住んでる可能性は大だな。月曜日、早めの電車に乗るから啓太、その時見かけたら教えてくれよ」
「あぁ、いいよ」
彼は快く頷いた。
「オレ、喉渇いた。啓太、向こうでコーヒー飲まない?豆から挽いて入れるから」
「お前も元気そうだから、じゃあちょっとだけご馳走になろうかな」
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