Darkness † Marker 5 【彷徨う者】


「犯人は久司でも双瀬さんでもないみたいなんだ」


「だったら僕、1人心当たりがあるよ」


啓太がぼそりと言った。

「本当か!?」

「うん。如月が駅のホームで倒れた時、肩を貸してくれた男の人が1人いてね。お前を公園のベンチに運んだ後、僕はスポーツドリンクを買うためにコンビニに走ったから…もし指輪を嵌めたとしたらその時かも」

「お、男…どんな人、だった?」

もしその人物が指輪の贈り主だとしたら、どんな風貌だったか気になる所でもある。


(思いっきり変態っぽかったら、どうしよう…)


日常的に付きまとわれでもしたら、ある意味霊よりも厄介だ。

恐る恐る彼が尋ねると、啓太はうーんと胸の前で腕を組んで唸る。

「あの時は僕も気が動転してたから、はっきりと特徴は覚えてないんだけど…凄く綺麗な顔してた印象だけはあるな。体型はスラリとしてて、物腰柔らかだったよ…でもスーツは着てなかったから、会社員って感じはしなかったな」


「香水の匂い、してた?」


「香水?やけにそれに拘るんだな…。でも残念ながらそこまでは覚えてない」

「そっか…ま、いいや。その感じだと同じ駅から電車に乗る人だろうから、この近辺に住んでる可能性は大だな。月曜日、早めの電車に乗るから啓太、その時見かけたら教えてくれよ」

「あぁ、いいよ」

彼は快く頷いた。

「オレ、喉渇いた。啓太、向こうでコーヒー飲まない?豆から挽いて入れるから」

「お前も元気そうだから、じゃあちょっとだけご馳走になろうかな」


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