Darkness † Marker 5 【彷徨う者】

        ☆


「いつまで僕の側にいるの?」


彼は朝から側を離れようとしないそれに話かけた。

「君の主は僕じゃないよ」


ひらひら…ひらひら…


舞っては時々肩や手の甲で羽を休める蝶に、彼は困った顔をする。

蝶は突然、早朝に現われた。

現われて、あの場所まで連れて行った後も彼の傍から離れない。

まだ誘(いざな)うところがあると言わんばかり、優雅に光を纏う羽で飛び回る。

「まだ、ダメなんだ。僕は動けない。だから今は大人しく、主の元へお帰り…」


ひらり…


言葉が通じないのか、分からない振りをしているのか。

蝶は彼の指先に止まると、羽を休めるように閉じてしまった。


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