君を守りたい


「すみません、俺、帰ります。」


やっとの思いでそれだけ言い、来たときと同じようにドアのベルをチリンと鳴らして店を出た。重い足取りで、家までの道のりを歩き始める。

やっぱりもう、陽路先輩にとって俺はどうでもいいのかな?

笑ってほしいだけなのに、どうしてダメなんだろう?

陽路先輩のココロからの笑顔を引き出せるのも阿久津先輩。
陽路先輩がココロから求めてる人も阿久津先輩。

それに、俺は阿久津先輩にはかなわないってことも、合宿のときから薄々気づいてたはずなのに。

何で俺は――…

陽路先輩が笑ってくれればいいとか言いながら、彼女の気持ちを自由にしてあげられなかったんだろう?