その悲しげな表情の意味、今の俺たちならわかる。でもきっと当時の陽路先輩は、しばらく誰にも話はしなかったんだろうな。それがリアルに想像できる分、余計悲しい。
「いつ、陽路先輩はみんなに話したんスか?」
「確か…。高校の春季大会の前の日じゃなかったかな。そうだよね、蓮?」
「あぁ。『試合の前日にみんなの気を散らせること言ってごめん。』初めて涙を流しながら、そう、何度も謝られた。」
陽路先輩の泣き顔が頭に浮かぶ。
なぁ、頭の中でくらい、思いっきり笑ってくれよ。俺は先輩の、泣いてる顔が見たい訳じゃねーのに。
俺が陽路先輩の過去を知らなかったのは、その場に俺がいなかっただけ。その事実が、二年の時間の壁が、やっぱり悔しい。

