君を守りたい


「…すみません。」

「いや、気にするな。……ではまず、彼女がマネになった理由だが…。」


謝る俺を制し、沢柳先輩は残り少なくなった自身のコーヒーに口を付ける。そしてゆっくりと口を開いたので、俺は静かに耳を傾けた。


「海星にきた当初から、やはり大崎先輩は海星でマネージャーをやるつもりはなかったらしい。しかし、大崎先輩の凌葉でのマネ歴を知った顧問がほぼ強制的に連れてきた。」

「俺たちがよく知る通り、大崎先輩は優秀なマネ。何でもそつなくこなすし、部員たちへの気遣いも忘れない。そんな人が転校してきて、あの顧問が黙っている訳なかったんだよ。自分は忙しくて、あまり部活に顔出したりもできない人だからね。」


…確かに陽路先輩は完璧な人。顧問なら誰もが引き抜きたいと思うだろう。まして、自分が放任主義のあの顧問なら尚更。

それに、文武両道を掲げ、絶対何かの部活に属さなければいけないとされる海星大附属。そのことを盾にされて、きっと彼女は断れなかったのだ。