思わず目を伏せたあたしに、雅樹は口を開く。
「大崎先輩が気付いてないだけですよ。“俺たちにとって、陽路先輩の存在は大きい”と、渡部だって言ってました。」
「圭が…。」
圭、といえば。
初めて会ったとき、“俺は何にも信じない”っていうような顔が印象的だった。
「それに…」と続ける雅樹の言葉に過去から意識を戻し、また耳を傾けた。
「俺たち海星メンバーにとっても、大崎先輩の存在は大きいんですよ。」
そう発された言葉に、不覚にも涙が零れそうになった。雅樹にバレないよう、不自然にならないように顔を背け、外に目を向ける。
いつの間にか車窓の景色には、建物が多く映るようになっていた。

