雅樹の切れ長な目があたしを捉える。だけどその目は、最初に見せたような、優しい目をしていた。
「俺は…。人は傷つけ合うことをせずには、生きていけないモノだと思っています。」
「え…?」
雅樹から静かに紡がれた言葉に、あたしは耳を傾ける。再び紡がれた言葉は、まさしくあたしに向け向けられたものだった。
「生きていく中では毎日、傷つけ、傷つけられ、の繰り返し。ときには慰めも必要だけど、その繰り返しの中で、人は強くなることができるんじゃないですか?」
“強くなることができる”…
雅樹の言葉が胸に響く。確かにそうなのかもしれない。けれど、人がみんなみんなそういう人だとは限らない。みんなが雅樹みたいに強いわけではないのだ。
傷ついたら傷ついただけ、弱っていく人もいるでしょう?

