「あたしのせいで慈朗は右手、圭は足を怪我した。また二人みたいな犠牲者がでるのが、あたしは怖かった。だから逃げたんだよね、あたし。どうせならもっと早く、慈朗と圭が怪我する前に、いなくなるべきだったのに。」
黙ってあたしの話に耳を傾ける慈朗の手が、強く握りしめられて小刻みに震えてるように見えた。でも慈朗が悔やむことなんて、何一つないんだよ。
「でも結局それが、あのときのあたしができた、最大限の防御。みんなを守るために、あたしができた最大限。逃げてごめん。裏切ってごめん。」
あたしがそこまで言い終えると、慈朗はスッキリしたような表情を浮かべ、ふっと笑みを零す。
「ホントのこと聞けてよかった。でも俺たちこそ、気づいてあげられなくてごめんね。俺たちが気づいて、手を差しのべていたら、陽路ちゃんはずっと凌葉にいられたハズなのに。」
でも一瞬にして、慈朗の表情は悲しみをたたえた。

