君を守りたい


伝わってくる体温が、あたしに安心感を与える。でもホントは、あたしに慈朗に抱きしめてもらえるような資格なんてない。

だって慈朗はあたしが今、寿也とつきあってることを知らない。昨日圭には話したけれど、圭の性格上、そんな大切なことをあたしの知らない間に勝手に伝えたりするなんてありえないから。

慈朗へなのか寿也へなのか、結局誰に対してなのかはわからないけれど、何ともいえない罪悪感が生じてくる。今でも遅くないからさっさと身体を離せばいいのに、あたしには慈朗を突き放すことはできなかった。


「…陽路ちゃん、覚えてる?」


あたしの葛藤を知ってか知らずか、不意に慈朗が話し出した言葉。“覚えてる?”って何を?

「何?」と返し、あたしは耳を傾けた。