君を守りたい


「何?」

「…いや。何でもねぇよ。」


その言葉のあと、また渡部の顔に切なげな表情が浮かんだのが見えた。もしかして…って思うことはあるけれど、あえて聞いたりなんてしない。だってどうせ、聞いたってさっきみたいに『何でもない』って言われるだけだろうし、きっと気にしない方がいいんだ。

トレーを返却口に返し、大広間を出る。すると、コートの方に向かっていく村田君と木原の後ろ姿を捉えた。当然、さっき大広間を出てから今までの時間、何をしてたんだろうという疑問が生じる。

……きっと、陽路ちゃんのところに行ってたんだろうなっていう答えはすぐに浮かんだけれど、やっぱりさっきの引っかかりが気になり始めた。

だって、偶然捉えた木原のあの表情…。
ただ先輩を心配してるわけではないような、そんな感じだった。俺、何か大切なこと知らないんじゃないかな?イヤな予想が頭の中に広がっていく。

三年前の自分と今の木原が、僅かに重なって見えた。