君を守りたい


「そんなの、あたりまえだよ。」


そう答えた俺に「そうか。そうだよな。」とだけ呟き、渡部は口をつぐんだ。渡部は俺の後ろにいるから表情はわからない。でも、振り向いて確認したいとも思わなかった。

そして渡部と場所を交換して、今度は俺が渡部の背中を押す。生じた沈黙が、どうしても居心地が悪く感じた。

一度空を見上げ、ふと宿舎の方に視線を移す。陽路ちゃんはもう目を覚ましたかな…?心配だ。


「………もう、放すなよ。」

「え?」


渡部からいきなり発せられた声に、ようやく我に返る。

でも、陽路ちゃんに思いを馳せていた俺には渡部の言葉なんて聞こえておらず、思わずそう聞き返していて。

渡部は大きく息を吸い込んだ後、もう一度俺に向けて、言葉を紡いでくれた。