君を守りたい


泣きそうな表情を浮かべる桃。その隣の愛加が、恐る恐る口を開く。


「何で、美香先輩知ってるんですか?」


さっき本人から聞き出しました。だなんて、ホントのことをあたしが言える訳もない。だから、あたしが紡ぎだすのは、上手く二人を味方にできるような適当な嘘。理由の真偽なんて、今はどうでもいいのだ。
あたしはうつむき、ゆっくりと話し出す。


「さっきコートのところで、陽路と藍前君の会話を聞いちゃったんだ…。」


「え?」と驚く二人を差し置いて、あたしは続けた。


「昼、多目的スペースで2人が一緒にいたでしょ?藍前君“逢い引き”って言ってたけど、あながち嘘じゃなかったみたい…。」


もちろん、コートのところで2人が会話を交わしてたなんて嘘。でもまぁ、この二人にはあたしの嘘を見破るなんて無理だろう。徐々に険しくなる表情が、あたしにそれを確信させる。