あたしが小さく笑みを零した刹那、沢柳が大きなため息を吐いて口を開く。
「お前は顔にですぎだ。そんな顔をしてさっきみたいな態度をとっていたら、大崎先輩だって困るだろ。」
ん?大崎先輩って…。
陽路の話…?
「だって沢柳先輩!一応俺たち、つきあってんスよ!? なのに、俺の目の前で元彼に抱きしめられるとかマジありえねぇ…。」
さっきよりも大きめな声が、広いコートに響く。チラッと隣のコートを窺えば、ちょうど陽路はいなかった。
…ってか何?
陽路って、今度はこの子とつきあってるんだ?未だ阿久津のこと、大好きなクセに。
あぁ、さっきにも増してムカついてくる。あたし、一目で木原のことが、気になってたのに。
でもま、こんなことで引き下がるあたしじゃない。欲しいなら、奪えばいいだけの話だ。
合宿中に藍前も手に入れる予定だし、どうせならまたあたし、陽路から“大切なもの”を奪ってやろう。

