君を守りたい


しばらく経っても消えない、言い知れぬモヤモヤ感…。それを抱いたまま、あたしも指定されている部屋に向かうことにした。

二階建てであるこの宿舎。
一階には大広間と大浴場、自販機やベンチなどが置いてある多目的スペースがあり、二階はすべて客室となっている。

広い大広間を横目で見ながら通路を進んでいき、多目的スペースを通り過ぎたところで、階段を見つけた。

もうみんなは部屋に入ってしまったようで、通路には誰もいない。時折部屋から聞こえてくる笑い声や話し声を軽く耳に留め、歩を進める。

でも、自分の部屋に近づくにつれ、しだいに高まる鼓動と乱れる呼吸…。あたしは自分の部屋の前に着くと、大きく深呼吸した。

…――別に今さら、美香が怖い訳じゃない。
ただ、顔も見たくもないくらいに、嫌悪感を抱くだけ。

あたしはまだ、忘れようと努めた過去と向き合うことを、どこか恐れていた。