――でも。
「陽路ちゃんは、そんなに簡単に人を傷つけたりしないよ。」
ゆっくりと、自分の言葉を噛み締めるように話し出したのは阿久津。目の前であたしが怪我してるのに、そこまで陽路を信じられる自信は、どこからくるっていうのよ。
「おい慈朗。それなら美香が嘘ついてるって言うのか?」
「その方が、リアリティがあるでしょ。」
問いかける治に、凛とした態度で阿久津は言い放つ。その言葉に、自分の顔が歪んだのがわかった。
「ふざけんじゃねぇよ!美香はそんな奴じゃねぇ。」
イスから立ち上がり、そう怒鳴りつける治。その様子を静かに見据えていた渡部が、ゆっくりと口を開いた。

