そして治は、ゆっくりとあたしの制服の袖をめくる。しだいに露わになっていく、あたしがさっき巻いた包帯。痛くもかゆくもない、偽りの怪我。
「……コレ、どうしたんだよ。」
「えーっと、転んだ…?」
治の様子をうかがいながら、ぎこちなくそう答えるれば、しだいに険しくなる治の表情。それを見ていると、なんだか楽しくなってきて。込み上げる笑いを、必死に押し殺す。
「嘘つくな。転んでそんなところ怪我しねぇだろ。」
「嘘…じゃないよ。」
ここが演技の見せ所。自分の手を汚さずに陽路を消すには、こいつらの協力が必要不可欠なんだからさ。
「………大崎か?」
治のその言葉に、あたしは大げさに肩をふるわせた。そして強く、唇を噛みしめる。これでこの怪我は、陽路にやられたようにしか見えなくなるんだ。あたしは何も言ってないのに。

