都合が良いことに、今日は陽路が部活にこないらしい。…なぜかって?確か、足の診察だったと思うけど。
クラスで陽路からの嫌がらせが毎日続くって礼二に言ったら、陽路が怪我するという結果になった。マジいい気味。
でも、このチャンスを利用しない手はないよね。そのためには、どんな犠牲も厭わない。
部室に向かう前、あたしは女子トイレにこもる。そしてカバンから、前もって用意しておいた包帯を出して左腕に巻いた。さらに数回自分の頬をたたいて赤くしたあと、トイレから出る。
ゆっくりとうつむき気味に歩いて部室へ向かって。時折左腕を気にしながら、いかにも怪我をしているフリをすれば、誰もあたしが怪我をしてないなんて思わない。
こんなに人を欺けるあたしってすごいよね。自分でもそう思うんだけど。中学卒業したら、女優にでもなれそうだわ。

